コロナによるドイツの演奏会、音楽家事情

緩和が始まった初期段階(5月中旬頃)の旧市街の様子
 2020年3月17日から私の住むドイツ・NRW州(ノルトライン・ヴェストファーレン州)
でもコロナ感染予防のための外出自粛、自粛要請が行われてきました。2020年7月現在、
ほぼ解除され、来週(7月15日以降)にはマスク着用の義務も緩和される、と言われてい
ます。
 
 このような中、多くの国での規制方向と同じように、ドイツでも演奏会の開催はすべて
キャンセル、演奏家、音楽家(音楽講師なども含む)へは支援金も考慮されました。
それは、普段、芸術家保険へ加入していることが条件のもと、Max.2000€(約26万円)
までが支給されるというものでした。
 結果的には、支給申請開始から2週間後、早々に、申請人数、その合計金額が国の予定
ていた支援金額を超えてしまい、この制度は一旦暗礁に乗り上げてしまいます。
 これは、書類提出期間に制限がありながら、一箇所に勤務、所属していて、証明書類の
申請が単純で時間を要さない人がいる反面、芸術家という職業柄、所属や公演団体が
多岐に渡っている人が書類を揃えるのに時間がかかり、提出に2週間以上の時間を要した
芸術家もいる事情を国側が事前に慎重に考慮できなかったため、支援を急いだ国側は、
申請が受け付けられた順番で支援金を給付してしまい、多くの芸術家が給付を受けること
ができなかったために起きたことだそうです。
 もちろん給付を受けられた芸術家の方々は非常に助かったと話していましたし、
私の聞いた4〜5つの劇場勤務の演奏家、スタッフへの給与は大きく減額になることも
なく、守られた芸術家の方も多くいらっしゃったと思います。

 演奏会再開より前に、5月中旬、下旬を過ぎてからは、徐々に音楽教室の再開が認めら
れるようになりました。…とは言っても、歌は飛沫感染の懸念が強く、歌のレッスンと
管楽器のレッスンは再開が見送られてきました。
 正直なところ、私もマスクをして歌うことは考えられませんでしたので、事実上の歌の
レッスンの再開は6月中旬になりました。
 現在は夏休みに入りましたので、音楽教室等もお休みになりましたが、6月中旬頃から
透明カーテン、フェイスシールドなどを使用して、3m以上離れてのお稽古が認められて
いる状況です。(但し人数と部屋の大きさの規定を満たしていることも条件です)

 演奏会等に関しては、州によって対応が変わるので、私の住んでいるNRW州のお話を
します。
 まずベースとして、距離(最小1.5m以上)を確保し,保護対策(マスク着用、消毒等
の準備など)を条件として、最大100人までのイベントが許可されています。
 また特例として、100人以上のイベントが開催される場合は追加要件があり、
公演に関連するすべての保健局との協議の上、開催が許可されているそうです。
 オペラハウスや多くのコンサートホールなどは通常固定席ですので、
固定席を使用する場合はまた別の措置が提示されていて、座席プランが作成され、
参加する方の情報の記録を必須としています。例えば、参加した方々の演奏会前の行動を
書き込む欄も用意する、と定められています。
万が一、劇場内での感染があった、と認められた場合、感染が認められた方々の事前の
行動先へも連絡するという感染拡大を防ぐための措置なのでしょう。
 また会場内と参加者の衛生状態は確保した上で、パフォーマンスの種類によって規定が
細かく指示されています。やはり飛沫感染に対して慎重にあるため、歌や管楽器なら舞台
から3m以上距離を置く、など、ロベルト・コッホ研究所の発表内容をもとに、慎重に、
かつ機能的に考えられている条件が、非常にはっきり打ち出されています。

 私自身は2020年3月中旬以降に予定されていた演奏会から、5月、7月の主要な演奏会、
公演の他、いくつかの小さな演奏会も含め、公演自体が中止になったもの、また2021年
に延期になったもの、などがあります。2020年秋以降の公演は100人以下の演奏会も
中止、延期となりました。
 やはり聴きにきてくださる方には、安心してリラックスして音楽に集中して頂きたい、
という思いがあるのですが、同時に、この期間中、音楽が聴ければよいのではない、
ライブでの音楽体験が必要なのだ(喜)ということも強く感じさせられました。
 「音楽は耳だけで感じるのではなく、五感で感じているのだ」
次回はこのお話をしたいと思っています。

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